12.レポートをする日

かなり久しぶりに旅行記の続きです。この旅から着々と時間は進んですでに1年前になろうとしていることに少し焦っている。最近は焦りが唯一の原動力だ。

11.地方の町 - 路上

 

時間ぎりぎりに起きてサービスの朝食を食べる。今日はこの街の沖合1時間ほどのところにあるリゾートアイランドへ移動する。元々数日この街にいるつもりだったけれど、あまりに何もなさそうだったし、それにそんなに日程に余裕があるわけでもない。

宿で出してくれるらしい車を待つ間、シンガポールから連れてきたレポートに取り掛かる。少し焦ってくる。いつだって焦りが原動力。思ったより筆が進まない。だいたいの骨を決めておき、それを肉付けすれば大体このくらいの字数になるだろうと目論むのだけれど、いざ書き出してみると骨以外に書くことが見当たらない。そうして骨と皮の間に苦し紛れの水膨れが醜くふくれている不格好な文章が書き上がる。

そうしているうちに宿で出してくれたバンがくる。日本の地方都市にもよくあるバス停と観光協会が一緒になったような建物でバスに乗り換えて、小一時間揺られて寂れた港に着く。寂れたというより何もないという方が近い。空は曇っていて、時折軽く雨がぱらついている。こういう天気の日は海を眺めていてもすぐに飽きてしまって、船酔しないように気をつけながらまたレポートの続きをする。旅と日常の悪いとこどり。

島の船着場についた途端、東南アジアおなじみのスコールにやられて、雨季だったことを思い出す。トリップアドバイザーで勧められていた乗合タクシーは一台もおらず、船の乗客たちにはみんな宿から迎えが来ていた。そうこうしているうちにすっかり日も暮れる。次の船が着くまで30分ほど待ってチャーターバスに乗せてもらい、島の反対側のゲストハウスまで行く。

宿で紹介された街のフードコートは、島の中で一番割高だったことに後で気付く。何もかもがリゾート価格なので、コンビニで食パンとミネラルウォーターを買うけれど、リゾート地だから一層みじめな気分になる。通り沿いはバーやレストランの看板が明るくて、お高いテラス席はちゃんとしたテーブルクロスがかかっていて、ここ数日で一番心安らぐ風景だったけれども今日は素通りしてゲストハウスのロビーのワイファイでレポートをするしなかい。