シンガポール建築巡り3

ホテルから徒歩5分のシンガポール最高裁

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去年の留学中にぜひ行きたいと思いつつ、なにも知らずに閉館日の日曜日に来て以来、行かずじまいになっていた建物。ぱっと見ると、着陸したUFOみたいな最上階の円盤が気になるけれど、慣れると不思議と最高裁らしい格式を感じさせる。

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近くで見るとUFOの存在感はそこまでない。敷地ギリギリいっぱいまで建ててあるボリュームをガラスのアトリウムで分割した単純な構成で、薄切りにした大理石が張ってあり、大理石越しに外の光が建物内に入ってくる。比率構成が上手いのか、下手な植民地時代の建物(大抵改修されて真っ白になっているやつ)よりずっと威厳がある。細いワイヤーで吊られたキャノピーも上手く言えないけどファサードに奥行きを生んでいて、懐が深い。鉄とガラスの建物なのにオフィスビルっぽさがないのは大理石が見るからに高そうだからだけではない。f:id:mixologist2828:20191004203427j:image

でもやっぱり高そう。干物の開きみたいになってる。

中は撮影禁止だったけれど、ブロック毎に法廷が割り当てられていて真ん中のアトリウムにどでかいエスカレーターがある。動線はとても明快。真ん中の6層になっている部分が法廷で公共がアクセスでき、4層になっている周囲の部分が法廷関係者の空間になっている。UFOには大審院がある。

誰でも入れて、UFOからは市内がわりと一望できるからおすすめ。写真は撮れないけど。ついでだから傍聴していく。シンガポール訛りが強すぎて、なんの事件かは最後まで分からなかった。専門用語のせいもある。代理人と判事の話は終始噛み合っていなかった。判事がしきりに「そうじゃなくって俺が聞いてるのは…」って言ってて、代理人はその度に用意してきた資料を読んでいた。講評会で空回りする自分を思い出していたたまれない気分になってすぐに退出してきた。冷房が強すぎたのもあるし、内容が一言も分からなかったのもある。

 

設計はフォスターアンドパートナーズ。個人的にシンガポールいちおし建築のひとつです。