日常

空港トラムはついにマンガライまで延伸していた。マンガライはチキニの近くの巨大ターミナル駅で、ジャカルタのすべての線路はマンガライに通じている。ワークショップに来ていた鉄オタくんはフリー時間にマンガライへ電車を撮りに行っていた、そういう駅で、まだまだ規模は小さいけれど将来は新宿みたいになるよ、とインドネシア人の学生は言っていた。隣のホームはまだ階段を作っている最中だったけれど、ホームとにはすでに乗客がひしめいていた。彼らはいったいどうやってあそこまで来たのだろうか?

昔適当に打ったコンクリートを引っ剥がしてまた新しくコンクリートを打つというのがこの街の基本構造で、駅のホームでも街中でもそれは変わらない。だから空気はいつも土埃に満ちていて、ギャッツビーにでてくる灰色の町はさぞかしこんな感じだろうと思う。1週間ぶりの部屋にもしっかりと土埃は積もっていて、掃除するところまで含めて休暇。そうしていると久しぶりに雨が降ってきた。実に3ヶ月間一滴も降ってなかったのだ(とこれまたインドネシア人の学生が言っていた)。本格的な雨だった。30分ほどで止みかけてからまた1時間くらいしっかり降った。そろそろ雨季が始まるのかもしれない。次の日は空気が綺麗で、いつもは白と灰色の間みたいな色の空も、白と青の間くらいまでには晴れていた。ポンプの水も心なしか綺麗だった。

次の朝、洗濯へ行こうとして洗剤のボトルが消えていることに気づいた。ベランダへ出る開き戸は錠が壊れていて、たんすで抑えてあった。ベランダには猫の糞が干からびていた。洗濯場は昼間にはかなり暑くなる。この場所で快適に暮らすには朝早く起きるのが一番だけれど25年間貫き続けている夜型は一朝一夕には直らない。