18年の路上

11.地方の町

前回までのあらすじ:シンガポールから北上してタイに入り、鉄道で中南部の街スラータニーに到着。駅から街に向かうバスの中で少年に声をかけられ、彼がスクーターで宿まで連れて行ってくれる。 前回の投稿から一ヶ月以上もたってしまった。書いて人に見せる…

10.緑の土地

普通列車の硬い木製シートに座っていた4時間、窓の外に見えていた景色はほとんど一種類だけだった。低木が密に生い茂る緑の大地と雲ひとつない空。時折、線路脇で牛が草を食んでいる。遠景に山並みが見える時もあり、見えない時もあった。20分に一度くらいの…

8.KL

前回:クアラルンプールに到着 マレーシアの人はクアラルンプールのことをKLと言う。クアラルンプールをどういう抑揚で言ったらいいのか結局解らずじまいだったので、俺もKLKLと言っていた。KLに来るのは2回目で、前回と同じ宿をとったのでもうホーム感がある…

4.リンダリンダ

前回:午前3時にマラッカに到着 タクシーを降りた場所はマラッカの中心の小さな川にかかる小さな橋のたもとだった。ハードロックカフェの前で、細い通りを挟んだ向かいにはH&Mが建っていたが、当然どちらも閉まっている。小さなラウンダバウト的な交差点の斜…

1.おみくじ

このあいだ熱海に旅行に行って、ちょっと市街から外れた伊豆山という、山頂に神社が祀られている小さな山の近くに泊まった。海から山頂まで参道の石段が延々と続いているような場所で、脇の斜面の民家には大抵庭があって柑橘類の実がなっていて、シンプルな…